WCAN 2017 Winter に参加してきた
WCANに参加してきました!以下感想です。
LT(ライトニングトーク)
プレゼン時間は5分間。稲妻の様にプレゼンをすることから、LTと呼ばれている様です。
江口 伸行さん
株式会社エスケイワード
『Webディレクターが海外のクリエイティブアワードに挑戦した話』
北濱大輔さん
トライデントコンピュータ専門学校
『自分のブログを高速化してみた。』
田口 大輔さん
セイノーアジアトレーディング株式会社
『中国W11(独身の日)速報2017!』
上田 洋介さん
株式会社サービシンク
『コンペに勝つWebデザイン』
角田 綾佳さん
spicagraph
『アニメーションを共有するためにできること』
今回、理解できなかった話も多かったので、一番理解できた“上田さん”のお話をピックアップして感想を述べていきます!
『コンペに勝つWebデザイン』
上田 洋介さん
キーワード
「デザインの力ではなく、サイトの価値。」
コンペで勝つためには①
ユーザーにとって「見やすい、分かりやすい、使いやすい。」サイトであること。
WEB製作者としてではなく、ユーザー視点に立ちそのサイトが使いやすいかを考えれるか。
コンペで勝つには②
ユーザーの目的を達成すること。
ユーザーはそのサイトに何を求めているのか?その目的を汲み取る。
コンペで勝つには③
ユーザーに想像以上の体験を提供する。
ユーザーが欲しいと思っていなかった情報も提供する事。
※今までこの商品の存在を知らなかったけど、気になるかも!というような情報も提供。
コンペで勝つためには④
サイトの価値に 「クライアントが選ばずにいられない根拠」 を持たせること。
成果につながる論理的理由のこと。
つまり、証拠やデータに基づいた根拠である必要があります。
NG例)「流行ってるから」 「Googleが勧めている」
さらに、デザインをするデザイナーが論理的根拠をデザインに付加することができれば、デザイナーの価値向上にも繋がります。
「コンペで勝つためには」の上記①〜④は、
デザイン力ではなく、サイトの価値に繋がります。ユーザー視点に立つ事、論理的根拠を持つことでデザインに説得力を付加する事ができます。
メインセッション紹介
LTはお一人5分で時間が短いセッションでしたが、メインではお一人60分間の内容ずっしりな講演となっておりました。 今回お話頂いたお二人はこちら!
田口 真行さん 株式会社デスクトップワークス
テーマ:『ディレクション思考』
長谷川 恭久さん
テーマ:『既に来ている機械化の波とデザイナーができること』
メインセッション ①
田口真行さん『ディレクション思考』
「今回は、『ディレクション思考』と題して、クライアントワークにおけるヒアリングから企画提案に至るまでの「思考プロセス」にフォーカス。」
〜WCAN公式サイトより抜粋〜
※感想を書くと言いつつ、話を聞いて学んだことをまとめて行きたいと思います。
一部田口さんの言葉通りではない部分もありますが、そこは自分なりに噛み砕いたりした箇所です。
Web制作の進行方法について
まず、Web制作の進行には以下の段階があります。
目的を定める→企画→設計→制作→成果物
☆ポイント
「企画の前に目的を定める事」
目的は成果物に直結します。
船に例えると、「どこに向かうのか?」これが目的になります。
しかし、ただ受け身になってクライアントの話をメモするだけでは明確な目的は定まりません。
では、どうするのか?
☆コミュニケーションしながら引き出して行く
クライアントとのコミュニケーション(ヒアリング)を通して、以下を行います。
① クライアントに振り回されないように、「目的地」をはじめに共有する。
② 進め方を決める(効率よく、スムーズな進め方)。
クライアントとの認識のズレの原因は“ヒアリング”不足です。ディレクションは「プロジェクトを仕切る立場」であるため、目的を定めてプロジェクトの方向性を決めていかなければなりません。
ヒアリング不足により方針が変われば余計なコスト(時間)がかかってしまう危険性があります。
③ しつこいぐらいに①、②を確認、意識すること。
クライアントへのヒアリングとは?
ヒアリングはクライアントの話を聞く行為ではありません。
「ヒアリングは引き出すこと」です。
ヒアリングで何を引き出すのか?
・クライアントの目的達成課題(困っていること、何を欲しているのか)
・予算などを含めた条件を要件として収束し解決策を示す
ヒアリングする際に気をつけたいこと
◎あらかじめクライアントにへの質問項目を考えておく
◎相手の立場になって質問内容を考える
◎その質問は相手が答えやすいか? →あらかじめ質問を絞る
◎相手が考えていることを考える 余計な質問をすることで、余計な仕様が増える可能性もあります。
共有化できていないと相手の曖昧な情報を都合よく解釈して、「相手から言われたことだ」と自分の中ですり替えてしまう危険があり、それは後々の認識のズレとして問題に発展します。
自分がどういうプロでありたいか?
クライアントに振り回されないためには、「自分がどういうプロでありたいか?」という“プロ”として譲れない部分は持っておくといいです。
メインセッション ②
長谷川恭久さん
『既に来ている機械化の波と デザイナーができること』
人工知能(AI)というキーワードが日本のメディアからも耳にするようになった 2017年。 仕事が奪われてしまうかもしれないと脅威を感じる方も少なくありませんが、AI は協業パートナーです。 本セッションは今既に始まっているデザインの仕事における機械化と、その中で必要とされるデザインスキルを紹介します。
〜WCAN公式サイトより抜粋(中略含む)〜
「人工知能、機械化は今現在普通に使われている。 未来のことでは無い。」
近年、『Adobe Sensei』なるものが出てきたそうです。
『Adobe Sensei』とは、名前の通りAdbeが提供している、「デザイナーが今まで苦労して作成していた物も、瞬時に作成してしまう機能。」が搭載されたAIです。
『Adobe Sensei』機能例
・ある程度の見た目は瞬時に完成
・ルールを学んでデザイン
・手間のかかる作業の自動化
・表現の検索の幅が広がる
詳しく見たい方はこちら:Adobe Creative Station
Adobe Sensei があれば、画像処理、3D映像の編集までも楽々できてしまいます。 以前は手作業で行なっていたことがAIが進んだことにより、クリックだけで済んでしまう時代がきてしまいました。
AI、機械化により、デザイナーの仕事のあり方は常に変わり続けています。
そのため、「今までは〜だったから」なんて感覚では取り残されてしまいます。
これからは、「今の常識は簡単にひっくりかえる。」、「今までの当たり前がこれからもそうだとは限らない」 事を念頭に置いていかなければなりません。
時代にとり残されないためには?
「先入観を持たずに今後を考えて行くこと」
ツールの発達により、 より早く、柔軟に対応できる制作者が求められます。 今後を考えるためには、『情報収集』が鍵となってきます。 自分の社内だけに目を向けているようでは先を見る事はできません。 SNSやネットを使って簡単に世界と繋がれるのが現代です。
いち早く情報をキャッチするにはネットは欠かせない存在です。
これから必要とされるデザイナーのスキル
求められるデザイン
・様々なスクリーン(画面サイズ)に耐えられるデザイン
・もしもを考慮した柔軟性・拡張性のあるデザイン
・一人のデザイナーに依存しないシステム
↓
必要とされるデザインスキル ①
・作るだけにとどまらない問題解決が求められる。
AIを活用したツールと協業していきましょう
昨今、Web解析はGoogleアナルティクスがやってくれる時代になりました。
以前は人がデータを収集し、分析・解析していましたが、今ではGoogleに話しかけるだけで答えが得られるまでになりました。
この発達により、 短時間で膨大なデーターから解析可能になり、データーに基づいたデザインを提案できるようになり、「デザイン職は無くならないが、何をデザインするかを考える時期」に突入しました。
クリエイティビティの中にも機械化が入り込んでいる
手作業にこだわらず機械化できるところは積極的に取り入れることで、以下の選択ができるようになります。
・作る分野を広げるか?(ツールにより容易に作ることができるようになったため、自分ができることを短時間で増やせる。)
・考えることを深めるか?(ディレクションにも繋がる)
機械化により、質とスピードがますます上がってきているため、頭の中にだけに留めない、仕組みづくりが重要となります。
ディスカッション
田口 真行さん と 長谷川恭久さんによるパネルディスカッションです。
参加者から事前に集めた質問を題材に討論していただけました。
Q. 情報収集のやり方は?
↓
長: TVは見ない(TV自体がない)。 デザイナーニュース、ハッカーニュースを毎日みてる。
Q. おすすめ書籍は?
↓
田: 『ナニワ金融道』青木雄二 著 『銀と金』福本伸行 著 TVもみてるよ(アメトーク、しくじり先生、ジャパネット)
長: ブログみてね!(おすすめデザイン入門書10選 )
Q. 実践の仕方について。
書籍やセミナーで学んだことが現場でうまくいかない。どうしたらいい?
↓
長: 仕事は日常の延長線上にある。 実際に現場を見に行って学ぶ。
日常の中にプレゼンテーションはあるそうです。
家族への「おはよう」や、店員さんに注文するとき等。
親しい人や身近な日常でできれば仕事でもできるでしょ?ということですね。
田: 賛同してくれる仲間を、社内外どこでも作るといい。
一人だけ「いい」と思っても広まらない。やれない。 仲間がいると続けれる。 一人だけで考え込んでいると「どうせ私しか考えてない。」というネガティブ思考になる。 一人で頑張っても客観的な視点が持てなくなる。
本やセミナーなどで「いい!」と思った事を実践していこうと考えたとしても、周りから賛同が得られなければ続けることは難しいですね。もし自分一人で完結するようなことなら問題ないと思いますが、人と関わることなら賛同者というのは必須ですね。
Q. 受託業界の未来は?
↓
こういう制作会社があると良いなという会社に自分でする。
社会情勢がどうだとかじゃなくて。、今後5年後、10年後のキャリアパスを大事にしている指標を元に考える。
長:「出して、その後の反応が来る」を昔からやってる。
今後どうなるかは知らない。 今はリアルタイムで反応(コメント)が帰ってくる。
長谷川さんはSNSを上手く使いこなしているようです。講演もSNSでのコメントや、前回講演時に聞いた質問などを元にテーマ決めをしているそうです。
Q. ディレクション、デザイナーの兼任時に気をつけていることは?
↓
田: ディレクション時(基本的にディレクション時はクライアントの味方である)、デザイン時の感情をそれぞれに持ち込まない。
長: なるべくデザインの説明はデザイナーにさせる。
ディレクターは伝書鳩じゃない。 デザイナーが伝えられないことはディレクターにも伝えられない。
余談の中で、長谷川さんが「田口さんは、アドリブっぽいところもちゃんと練習している。 それくらいプレゼンは大事。」と言っているのを聞いて、シンプルに、すごいなと思いました。 これが「プロ」としての仕事なのだと思いました。
また、すごく楽しそうにディスカッションされていたのが印象的でした。それぞれの価値観、考え方を言い合えるって楽しいことなんだなと思いました。